手取りの仕組み
額面年収から手取りまでに差し引かれる「社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)」「所得税(源泉徴収)」「住民税」の3層構造と、年収帯ごとの目安手取り率を表で解説します。
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はじめに
「年収500万円ですが、手取りはいくらですか?」という質問は最頻出のキャリア相談の一つです。額面と手取りには 20〜25% の差があり、その内訳は「社会保険料」と「税金(所得税・住民税)」の2系統に分かれます。本ガイドでは年収帯ごとの目安と、各引き去り項目の根拠を整理します。
額面から手取りまでに引かれる3つの層
- 第1層: 社会保険料(給与の約14〜15%)。健康保険(協会けんぽ・健保組合)、厚生年金(18.3%の労使折半で本人9.15%)、雇用保険(令和8年度は本人0.5%)の合計。40歳以上65歳未満は介護保険料(令和8年度は全国一律1.62%の労使折半で本人0.81%)が上乗せされます。
- 第2層: 所得税(給与から源泉徴収)。年間給与収入から「給与所得控除・基礎控除・配偶者控除・扶養控除・社会保険料控除」を差し引いた課税所得に対し、5%〜45%の累進課税で計算。さらに復興特別所得税2.1%が上乗せされます。
- 第3層: 住民税(翌年6月から12分割で天引き)。所得割10%(全国一律)+ 均等割(年5,000円前後)+ 森林環境税1,000円。前年の所得が基準なので、新卒1年目は住民税ゼロ、退職翌年は住民税が高額になります。
年収帯ごとの目安手取り率
額面年収別の手取り率の目安(独身・扶養なし・東京・令和8年以降の概算)
| 額面年収 | 手取り率(目安) | 手取り額の目安 | 主な所得税率 |
|---|---|---|---|
| 300万円台 | 約80% | 240〜245万円 | 5% |
| 500万円台 | 約78% | 390〜395万円 | 10% |
| 700万円台 | 約76% | 530〜540万円 | 20% |
| 1000万円台 | 約72% | 720〜730万円 | 33% |
| 1500万円超 | 約66% | 990〜1000万円 | 45%帯に接近 |
手取り率は年収が上がるほど下がります。これは所得税が累進課税であること、年収約780万円までは社会保険料も増え続けることが主因です。上表は独身・扶養なしの概算で、扶養家族・各種控除があれば手取り率は上振れします。なお令和7年度税制改正(基礎控除・給与所得控除の引き上げ、令和7年12月施行)により、特に年収300〜500万円台では改正前より手取り率がやや改善しています。
社会保険料の上限と「ボーナス比率」の影響
社会保険料の主な上限
| 項目 | 上限の目安 |
|---|---|
| 健康保険(標準報酬月額) | 139万円 |
| 厚生年金(標準報酬月額) | 65万円(年収約780万円相当) |
| 健康保険の標準賞与額 | 年度累計573万円 |
| 厚生年金の標準賞与額 | 1回あたり150万円 |
配偶者・扶養と「年収の壁」
配偶者控除(38万円)・扶養控除(38〜63万円)は所得控除なので、課税所得が下がる分だけ所得税・住民税が減ります。年収500万円で配偶者控除を受けると、手取りは年5万円〜7万円ほど増えます。
配偶者の「年収の壁」ごとの主な影響(令和7年度税制改正を反映)
| 配偶者の年収 | 発生する主な変化 | 世帯手取りへの影響 |
|---|---|---|
| 123万円 | 配偶者控除の対象上限(令和7年改正で103万→123万に引上げ) | 超えると控除の段階調整が始まる |
| 130万円 | 健康保険・年金の被扶養者から外れる | 配偶者本人に社会保険料が発生し手取り減 |
| 150万円 | 配偶者特別控除が満額(38万円)から減少開始 | 世帯主側の控除が段階的に縮小 |
| 201万円 | 配偶者特別控除がゼロに | 世帯主側の控除が消失 |
手取りを増やす実用的な選択肢
- iDeCo(個人型確定拠出年金): 拠出金は全額が小規模企業共済等掛金控除になり、所得税・住民税の課税所得を直接下げます(年12万〜81.6万円の拠出枠)。
- ふるさと納税: 「税金の納付先を振り替える + 自己負担2,000円で返礼品を得る」スキーム。手取りは2,000円減りますが返礼品分のメリットがあります。
- その他の控除: 医療費控除(年10万円超または所得の5%超)、住宅ローン控除(年末残高の0.7%)、特定支出控除なども検討する価値があります。
よくある質問
Q.年収500万円の手取りはいくらですか?
A.独身・扶養なしの概算で手取り率は約78%、手取り額は390〜395万円程度が目安です。扶養家族やiDeCo・各種控除があれば手取りは増えます。正確な額は「手取り目安計算機」でご確認ください。
Q.なぜ新卒1年目は住民税が引かれないのですか?
A.住民税は前年の所得を基準に計算され、翌年6月から天引きされるためです。所得のなかった前年が基準になる新卒1年目は住民税がゼロで、2年目から課税が始まります。
Q.ボーナスからも社会保険料や税金は引かれますか?
A.引かれます。賞与にも社会保険料(標準賞与額ベース)と所得税の源泉徴収がかかります。ただし標準賞与額には上限があるため、高額賞与では一部が頭打ちになります。
Q.額面と手取りの差を縮める方法はありますか?
A.iDeCo・ふるさと納税・医療費控除・住宅ローン控除などの所得控除・税額控除を活用すると、課税所得や税額が下がり手取りが増えます。いずれも制度の条件があるため、公的機関の情報を確認のうえご利用ください。
Q.手取りを自動で計算できますか?
A.「手取り目安計算機」で、額面から社会保険料・所得税・住民税を差し引いた手取りの概算を確認できます。年収・家族構成を入力すると目安が表示されます。
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公式出典・参考情報
本ガイドは一般的な制度・知識の解説であり、個別事案への助言ではありません。最終的な判断は税理士・弁護士・FP・医師等の専門家、または公的機関にご相談ください。